家庭菜園初心者ですが、自然農法に憧れて不耕起栽培という方法があることを知りました。不耕起栽培とは土を耕さずに栽培することなのですが、本当に耕さずにちゃんと作物が育つのか?土はカチカチになってしまわないのか?初心者なので色々心配していました。
今年で不耕起栽培3年目となりますが、実際始めてみると思ったよりちゃんと野菜たちはスクスク育っています。自身の経験から不耕起栽培で作物を育ててわかったメリット・デメリットをご報告していきたいと思います!
不耕起栽培って何なの?
不耕起栽培とは、ズバリ「土を耕さずに野菜を育てること」です。畑と言えば耕すのが普通だと思っていましたが、自然の力をうまく利用しながら、耕す労力を費やさず育てることができる画期的な方法なのです!!
土は耕さないと土が固まってしまうと思いませんか?しかし耕さなくても雑草や作物の根を抜かずに葉だけを刈って土の中で根を張るようにすることで土もフカフカな状態を維持できます。写真のように刈った草を作物の周りに敷くことでほとんど土は見えません。
雑草を刈って土の上に敷き詰めることで雨水の浸入を抑え、土が固くなるのを防ぎます。またヤスデやダンゴムシ、ミミズなどの土を良くしてくれる虫や微生物が増え、自然と栄養のある土になるのです。
不耕起栽培とは、自然の特性を理解した上で、その作用を生かしながら栽培する方法とも言えます。そして緑肥作物をうまく活用することも大切です。(後述します)
不耕起栽培ってどうやってるの?
1年目の畑では耕運機をかけ、堆肥や有機肥料を土に混ぜてふかふかな土にしました。雑草の生え方で土の状況がわかるのですが、冬にホトケノザやオオイヌノフグリ、ハコベなどの雑草が生えている土は肥沃な土と言われており、我が畑でもたくさん生えていたので、2年目以降は土を耕やさずに野菜を作りました。
どうやって始めればいいのか、私が実際にやった方法をお伝えします!
草マルチを活用する
畑を借りてすぐはまず畝を作りますが、その後は畑に生えていた雑草を刈り取って草マルチとして畑に敷きます。後日作物を植え付ける際には、雑草をよけて穴を掘り、苗を植えます。(養分がたくさん必要なナス、キュウリなどの苗の下には事前に一握りの堆肥を土の中に入れます。)
植え付けた後は、苗の周りに雑草を戻します。苗を植えた後は、周りの雑草が伸びてきたらカマで刈り取って苗周辺に敷きます。どんどん刈り敷いていくことで、土に日の光が入らなくなり雑草が生えにくくなります。草マルチはどんどん乾燥しやがて細かくなっていき、土と混ざりそのままゆっくりと分解されて土に戻ります。
しかしこの雑草を刈り敷いていく作業がなかなか大変です。特に梅雨の時期は少し畑に行かないだけで、ボーボーになりますのでご注意を。
その後成長とともにボカシ肥料や米ぬかなどの肥料を草マルチの上から蒔いて追肥してを行います。詳しくはこちらをどうぞ。
緑肥作物を利用する
緑肥作物とは、土の状態を良くしてくれる作物のことです。今回は緑肥作物であるイネ科やマメ科などの作物を説明します。堆肥を使わない分、緑肥を利用して土の状態を良くすることが大切です。
イネ科植物を利用する
イネ科の植物は根を浅く広く張るため、土が柔らかくなります。根は微生物の食べ物となり分解されると土に空洞ができます。そのため土がやわらかく、水はけの良い、病気になりにくい環境を作ることができます。
イネ科の緑肥としては、エンバク、ライ麦、ソルゴーなどがあります。うちの家庭菜園では、畝の間の通路に蒔いて大きくなったら刈って草マルチとして使用しています。
マメ科植物を利用する
マメ科の植物の根には「根粒菌(こんりゅうきん)」という小さな菌が住んでおり、その菌が土を豊かにしてくれます。また根が地中深くまで張ることができるので、水はけの良い土になります。
うちの家庭菜園では、落花生、インゲン、大豆などを苗の間に植えています。
また畝の間の通路にクリムソンクローバーや赤クローバーなどを蒔いています。雑草として生えてくるカラスノエンドウもそのまま生やして草マルチとして活用しています。
野菜は根っこを残して収穫をする!
多くの野菜の根には「菌根菌(きんこんきん)」と呼ばれる長い菌糸が付きます。この菌根菌は土の中の根に付き、別の植物の根とも繋がって、植物同士で養分のやり取りをするネットワークを作ります。土の中でそんなやり取りがあるなんて驚きますよね。今まで根っこだと思っていた長い根は実は菌根菌だったかもしれません。
この菌根菌はミネラル、水分などをそのネットワークで集めて渡していくという役割があるようで、このネットワークがうまくできると、少ない養分の土地でも作物が生きていけるようになります。なのであまり根っこを切らずに残しておき、畑にもネットワークを残しておくことが大切です。
我が菜園では木の枝のようになってしまった作物以外は、根はなるべく残してそのままにしています。
不耕起栽培のメリット
手間やお金がかからない
基本的に土を耕さない、ほったらかしというのが不耕起栽培なので手間がかかりません。半年に1回行う土を耕やし堆肥を混ぜる作業もやらずに済みます。またビニールマルチや肥料も使わないので、マルチを張る手間やお金もかかりません。
ただ苗を植えてすぐは不耕起栽培とはいえ手入れが必要です。春なら苗を植えた後にあんどんをしたり、秋であれば虫がつかないように防虫ネットをかけることで、収穫量アップにつながります。
過去にきゅうりを植え付けた際にあんどんをしなかったことでウリハムシにやられました。
病気になりにくい
畑にたくさんの生き物が集まってきます。ヤスデ、ダンゴムシ、テントウムシ、カマキリ、クモなどたくさんの虫たちが畑をすみかとして暮らし始めます。病気を広めるのはアブラ虫だったりしますが、テントウムシなどの益虫が食べてくれるので安心です。
土を柔らかく水はけのよい土になるため、病気になりにくいとも言われています。
不耕起栽培のデメリット
作物の育ちがゆっくり
メリットかデメリットなのか分かりませんが、成長がとてもゆっくりです。不耕起栽培ではない隣の区画の畑と比較すると、うちの作物は半分くらいの成長速度といった印象です。不耕起栽培のため堆肥を混ぜていないことや、水やりも控えめにしていたことが原因で地中にゆっくりと根を広げるためではないかと考察しています。
5月に植えた夏野菜は8月の中旬あたりから本格的に収穫ができるようになりました。ゆっくりなので少々不安になりますが、焦らず見守っていくことで、確実に収穫まで成長しますし秋まで長く収穫することができます。
雑草を刈るのが大変
梅雨の時期になると雑草がたくさん生えてきます。1週間畑に行かないだけで雑草が作物より大きくなっていたりします。ほったらかしとは言っても、梅雨の時期などの雑草管理はしっかり行わなければいけません。雑草がたくさん生えていた畝は成長が遅くなります。しかし不耕起栽培は雑草を刈って敷いていくことがメインの仕事になり、その他の作業が少ないため家庭菜園レベルの広さの畑では管理がしやすいです。
益虫だけでなく害虫も現れる
雑草をちゃんと刈っておかないと有益な虫だけでなく害虫も発生することがあります。先日はミニトマトにカメムシが発生しましたが、雑草で風通しが悪くなることで、害虫が住みやすい環境を作ることになるため、しっかりと雑草を刈り定期的に枝やツルを誘引しなければいけません。また蚊もたくさん出ますので、畑に行く際は蚊取り線香や刺されないための服装にも十分注意して畑に行きましょう。
さあ、不耕起栽培を始めよう!
不耕起栽培では草マルチや緑肥作物を利用すれば毎年少しずつ土が良くなるはずです。あなたも今年は不耕起栽培を始めて、自然と一体になって野菜を栽培してみてはいかがですか??簡単に始められますし、手間もかからないのでオススメです!
こちら参考にした本です。ちょっと内容が難しかったですが、自然農法が好きな方には楽しい内容になっています。